心と体の性が一致しない「性同一性障害」と診断され女性の通称名で暮らしている京都市の会社経営者に対し、経営者が加入する国民健康保険組合は、戸籍上の男性の名前ではなく、この通称名で保険証を交付したことがわかりました。性同一性障害の人たちでつくる団体は、珍しいケースで配慮のある対応だとしています。
女性の通称名で国民健康保険証を交付されたのは、京都市に住む50代の会社経営者です。この経営者は心と体の性が一致しない「性同一性障害」と診断され、女性への性別適合手術を受けたものの、未成年の子どもがいるため戸籍上の性別を変更できず、女性の通称名を使って暮らしてきました。
しかし、国民健康保険証の名前は男性のままで、病院で名前を呼ばれるときなどに苦痛だとして、本人が加入する京都府酒販国民健康保険組合に保険証の名前を変えてほしいと求めていました。
組合が厚生労働省に問い合わせたところ、保険証の名前は組合の判断で決められるという回答があり、去年8月、通称名を記載した保険証を交付したということです。
性同一性障害の人たちでつくる一般社団法人「日本性同一性障害とともに生きる人々の会」によりますと、保険証で通称名が認められるのは珍しく、配慮のある対応だとしています。
NHKの取材に対し、この経営者は「今まで病院で味わっていた苦痛が緩和されると思ったらうれしいというよりもほっとしたなという感じです。私が私であるための第一歩になったと思います」と話しています。
-- NHK NEWS WEB