公的年金の将来の給付水準の見通しを示す「財政検証」の結果がまとまったことを受けて、厚生労働省は厚生年金の適用範囲を拡大するため、パートなどの短時間労働者の加入条件の見直しなど、制度改正に向けた検討を本格化させ、年内にも具体策を取りまとめることにしています。
厚生労働省は、公的年金の財政状況をチェックし、将来の給付水準の見通しを示す「財政検証」の結果を27日公表しました。
それによりますと、経済が順調に成長した場合には、政府が約束している現役世代の平均収入の50%以上の給付水準は維持できるとする一方、マイナス成長の場合には2050年代に国民年金の積立金が枯渇し、給付水準が現役世代の30%台半ばまで落ち込むおそれがあるなどとしています。
根本厚生労働大臣は「長期的な社会経済の変化に合わせて見直しを行い、老後生活の基本を支える公的年金の役割がしっかりと果たせるよう今後、制度改正に向けて検討していきたい」と述べました。
厚生労働省は、制度を安定的に維持するため、改正に向けた議論を本格化させる方針です。
具体的には今回、追加的に行った検証結果も参考に、厚生年金の適用範囲を拡大するため、パートなどの短時間労働者の加入条件の見直しや、年金の受給開始年齢を75歳まで選択できるようにすること、それに国民年金の保険料を納める期間を40年間から45年間に延長することなどを検討することにしています。
また一定の収入がある人たちの年金を減らす「在職老齢年金」制度について、高齢者の就労を促す観点から縮小や廃止を議論することにしています。
厚生労働省は年内にも具体策を取りまとめ、来年の通常国会に必要となる法案を提出したい考えです。
-- NHK NEWS WEB