文部科学省の天下りの問題を受けて、衆議院予算委員会で集中審議が行われ、前川前事務次官は、再就職に関する情報を仲介役だった人事課OBの嶋貫和男氏に組織的に提供していたことを認めました。また、嶋貫氏はあっせんを始めた平成21年から2つの団体と企業に再就職し、年間およそ1200万円の収入を得ていたことを明らかにしました。
この中で前川前事務次官は、仲介役だった人事課OBの嶋貫和男氏との情報のやり取りに関して「私を含めて、文部科学省の職員が折々、さまざまな団体や大学とつき合う中で『人材が欲しい』という情報に接することはある。私どもは直接、あっせんすることは法に触れると考えていたので、OBである嶋貫さんに情報を渡すということはしていた」と述べ、職務上知り得た再就職に関する情報を嶋貫氏に組織的に提供していたことを認めました。
また、嶋貫氏は、再就職先や退職予定者の情報について「私が仕事をやっていく中で、再就職に絡むような話を聞いたものもあり、私学の方からも折々にお聞きし、自分のメモにしていたが、記録用にというか、一度整理するという意味で、お願いしたことはある」と述べ、文部科学省の人事課と協力して資料を作成していたと説明しました。そして、退職予定者の再就職先が決まった際には、文部科学省の幹部や人事課に報告したケースもあったことを明らかにしました。
さらに嶋貫氏は、あっせんを始めた平成21年から、教職員の福利厚生などを支援する財団法人「教職員生涯福祉財団」の審議役として、週に3日程度の勤務でおよそ700万円、文部科学省の職員や退職者が加入する火災保険などの保険代理店、株式会社「第一成和事務所」の顧問としておよそ500万円、合わせて年間およそ1200万円の収入を得ていたことを明らかにしました。
一方、安倍総理大臣は「違法な天下りには、懲戒処分だけでなく刑事罰を科すことを検討すべきだ」と求められたのに対し、「再就職等監視委員会によって、国土交通省や今回の文部科学省の事案も摘発された。その際、相当の処分もなされているが、再発防止にどれくらいの効果があるかということだ。他の処罰等の均衡等のこともあり、慎重に検討していくべきことだ」と述べました。
また松野文部科学大臣は、再就職等監視委員会の調査報告書で一部が黒塗りになっている事案の内容の一部を説明するよう求められたのに対し、「公表は、現時点では差し控える。優先して調査すべき事項であり、できるだけ早い時点で結果を公表したい」などと繰り返し答弁したことに、民進党は「不十分だ」と反発し、審議がたびたび中断しました。
-- NHK NEWS WEB