来年度予算案の概算要求に合わせて、各省庁は税制改正の要望も提出しました。子育て支援や老後の資産形成を後押しするための要望が盛り込まれていて、年末にかけて調整が進められます。
各省庁は30日、来年度の税制改正の要望を担当する財務省と総務省に提出しました。
このうち、子育て支援をめぐって、厚生労働省はベビーシッターを利用する際にかかる消費税を認可保育施設と同様に非課税にすることや、未婚のひとり親の所得税の負担を軽くする税制上の措置を講じるかなどについて検討し、結論を得ることを要望しました。
また老後の資産形成に関心が高まる中、厚生労働省は公的年金に上乗せする「個人型」の確定拠出年金=「iDeCo」に、希望すればすべての会社員が労使の合意がなくても加入できるようにするなど、制度の改正を検討しています。その場合にも掛け金や運用益を非課税にするなどの措置を求めました。
金融庁も、個人投資家を対象に、投資で得られた利益を非課税にする「NISA」や、長期の資産運用向けの優遇税制「積立NISA」を恒久的な制度にするよう要望しました。
さらに医療について、厚生労働省は医師不足の地域にある病院や診療所が事業を継続しやすいように、医師の勤務経験など一定の要件を満たした場合に税制面で優遇する措置を求めました。
このほか経済産業省は、後継者のいない中小企業の経営者が第三者に事業を譲り渡す事業承継を促すための税制措置を要望したほか、国土交通省は外国人旅行者の消費の拡大につなげるため、免税手続きの機能を備えた自動販売機で購入した商品についても免税店と同じ扱いが受けられる措置を求めました。
また内閣府は、企業が地方創生につながる自治体の取り組みに寄付した場合、法人税などが軽減される「企業版ふるさと納税制度」について、軽減の割合を引き上げるよう要望しました。
来年度の税制改正は、今回の要望をもとに、政府・与党が調整を進め、年末に決定することになっています。
-- NHK NEWS WEB