アメリカと中国の貿易摩擦が激しさを増していることから、日本企業の間では、関税の負担を抑えようと、アメリカ向けの製品の生産を中国からほかの地域に切り替える動きが加速しています。
大手精密機器メーカーのリコーは、アメリカ向けに輸出してきた年間数万台の複合機について、生産を中国からタイに切り替えました。
タイの工場の生産量はこれまでより1割ほど増えたということで、会社は、中国の工場では日本やヨーロッパなどほかの地域に輸出する製品を生産しています。
リコーの西宮一雄常務執行役員は、「関税の影響は極力、減らしていきたい。日本メーカーにとって、関税や為替、災害などの影響に柔軟に対応できる体制を持つことが課題であり、今回は適合できたと思っている」と話しています。
このほか、三菱電機もアメリカに輸出していた半導体や産業用機械の生産の一部を中国から日本に切り替えたほか、ダイキン工業はアメリカ向けのエアコン部品のコンプレッサーの生産を中国からタイに切り替えました。
米中の貿易摩擦は収束の兆しが見えない状況になっているだけに、生産体制の機動的な見直しは日本のメーカーにとって欠かせない戦略になっています。
-- NHK NEWS WEB