アメリカのトランプ大統領が来年の大統領選挙を巡りバイデン前副大統領に関する調査に協力するようウクライナに圧力をかけたとされる疑惑で、野党・民主党のペロシ下院議長はトランプ大統領の弾劾に向けた調査に着手する方針を明らかにしました。今後、議会下院で弾劾を求める動きが活発化することが予想されます。
この疑惑はトランプ大統領がことし7月、ウクライナの大統領と電話会談した際、軍事支援を背景に民主党のバイデン前副大統領とウクライナの企業との関係に関する調査に協力するよう圧力をかけたとされるものです。
これを受けて民主党が主導権を握る議会下院のペロシ議長は24日、声明を発表し、「トランプ大統領の行動はアメリカの安全保障や大統領に就任する際の宣誓に反している」と述べました。
そのうえで「本日、議会下院の6つの委員会に弾劾に向けた調査を進めるように指示する。法を超える国民は1人もおらず、大統領は説明責任を負わなければならない」と述べて、トランプ大統領の弾劾に向けた調査に着手する方針を明らかにしました。
ペロシ議長はこれまで弾劾には慎重な姿勢を示していましたが、トランプ大統領の新たな疑惑を受けて党内で弾劾を求める声が高まり、今回、方針を転換した形です。
一方、トランプ大統領は24日、ウクライナに対する軍事支援を一時、保留していたことを認めましたが、圧力は否定していて、ペロシ議長の発表を受けてツイッターに「民主党は電話会談の内容すら見ていない。完全な魔女狩りだ!」と投稿して非難しました。
民主党は今回の疑惑で「大統領が政敵をおとしめるために外交を利用した」と批判していて、今後、議会下院で弾劾に向けた動きが活発化することが予想されます。
-- NHK NEWS WEB