災害の際、住民の迅速な避難を後押しするため、民間の保険会社が対応に乗り出しました。去年の西日本豪雨で、避難の遅れが被害を拡大させたことをきっかけに、損害保険大手の「あいおいニッセイ同和損保」は、いざという時に高齢者の自宅にタクシーなどが向かい、安全な場所まで避難させる費用の支払いを想定した「避難保険」という新しい保険の検討を始めました。
270人以上が亡くなった去年の西日本豪雨では、自治体が避難勧告などを出したものの、多くの人が避難しなかったことが被害の拡大につながったと指摘されています。
このため、損害保険大手の「あいおいニッセイ同和損保」は「保険」の仕組みを使って、住民の避難を促すことができないか本格的な検討を始めました。
検討しているのは「避難保険」という新しい商品です。豪雨などで避難情報が出た時に、タクシーやバス会社が、高齢者の自宅に迎えに行って安全な場所まで避難させると、その費用が保険金として支払われる仕組みを想定しています。
「避難保険」は、もともとは県立広島大学の防災を専門とする研究グループが提唱していて、会社では、来月から大学と共同で詳しい調査を始める方針です。
実際に商品化するには、災害時にタクシー会社が確実に車を出せるのかや、途中で被害に遭った際にどう対応するのかなど課題も多くありますが、「あいおいニッセイ同和損保」は検討を急ぐことにしています。
災害の際、自治体などによる避難の呼びかけに加え、企業が避難を後押しするサービスが実現すれば、住民の命を守る新たな手段として注目を集めそうです。
-- NHK NEWS WEB