深夜や休日などの業務時間外に受け取る仕事のメールが多いほど睡眠の質が低下し、メールが少ない日と比べて夜中に目が覚めた状態の時間が2倍に上ることが専門家の調査でわかりました。
これは働く人の健康問題に取り組む「労働安全衛生総合研究所」の久保智英 上席研究員らのグループが都内にあるIT企業で働く20代から50代までの55人を対象に行いました。
調査では腕時計型の睡眠計や、疲労度を測定するアプリを使い55人の1か月間の睡眠の状況を調べました。
それによりますと業務時間外に仕事のメールを受け取る数が多い日は「中途覚醒」と呼ばれる夜中に目が覚めてその後、眠れない状態の時間が平均でおよそ20分間ありました。
これは業務時間外のメールが少ない日と比べると2倍の長さで睡眠の質が低下したことがわかったということです。
調査にあたった久保上席研究員は、「業務時間外のメールが多いほど退社したあとも仕事の心配ごとについて繰り返し考えてしまうため睡眠の質の低下につながっている。仕事の生産性だけでなく働く人の健康被害にもつながるおそれがあり対策が必要だ」と話しています。
労働組合などによると業務時間外の深夜や休日に大量のメールが送られ、返信や対応も求められることなどから体調を崩す人がでていて中にはうつ病などの健康被害を訴え会社を辞めるケースもあります。
こうした中、業務時間外の上司からの電話やメールなどを拒否できる「つながらない権利」が注目を集めていてこれを取り入れる企業も出始めています。
-- NHK NEWS WEB