EU=ヨーロッパ連合からの離脱を3週間後に控えた10日、日産自動車はイギリスの工場を報道陣に公開し、合意なき離脱となったらここでの事業を続けることが難しくなると訴えました。
日産は10日、イギリス北部サンダーランドにある工場を報道陣に公開しました。およそ6000人が働くこの自動車工場は、去年の生産台数が44万台とイギリス最大の規模で、主力のSUV=多目的スポーツ車や電気自動車の生産のほか、新型車の組み立ても始めています。
ここで生産する車の70%はEU側に輸出されていることから、日産は今月末のEU離脱が取り決めのないままの「合意なき離脱」になると大きな打撃を受けると訴えています。
ヨーロッパ事業のトップを務める日産のジャンルカ・デ・フィッシ専務は記者団に対し、「ここで事業を続けたいと考えているが、EUに輸出する車に突然、10%の関税がかかることになれば、ビジネス環境が脅かされ将来にわたって持続することが難しくなる」と危機感をあらわにしました。
EU離脱の行方が依然として決まらない中、イギリスの自動車業界では合意なき離脱への警戒感が一段と強まっています。
関税がかかるようになることだけでなく物流の混乱に対する懸念も根強く、この対策としてイギリス最大手のジャガー・ランドローバーやトヨタ自動車は離脱直後に工場の操業を一時的に止める措置を決めています。
-- NHK NEWS WEB