東芝は、従来のコンピューターの計算能力を大幅に上回る新たな機器を開発し、実用化されれば金融取引を大きく変える可能性があるほか、幅広い産業に応用できるとしています。
東芝によりますと、新たな機器は、膨大な組み合わせの中から最適なものを選び出す、「組み合わせ最適化問題」と呼ばれる分野で極めて高速の計算ができる技術が使われています。
今回は外国為替市場の取引に応用していて、刻々と値動きするドルや円などの通貨の中から利益率が最も大きい組み合わせを90%以上の確率で瞬時に見つけ出し、100万分の1秒単位で売買の注文ができるということです。
数年後の実用化を目指して改良を進める予定で、実用化されれば金融取引の在り方を大きく変える可能性があるとしています。
計算技術をめぐっては、スーパーコンピューターをはるかにしのぐ性能が期待される「量子コンピューター」の開発競争が世界的に進んでいますが、装置が大きいなど、多くの課題があります。
一方、東芝が今回開発した機器は、量子コンピューターに近い性能を実現した一方で、小型なのが特徴だとしています。
会社は、災害が起きた時に最適な避難経路を見つけたり、産業用ロボットを効率的に動かすなど、幅広い産業に応用できると見込んでいます。
東芝の研究開発センターの辰村光介主任研究員は「今までは不可能だった、瞬時に最も合理的な判断を下すことが可能になる」と話していました。
-- NHK NEWS WEB