国の安全保障にとって重要な日本企業に外国人投資家が出資する際の規制を強化する法律の改正案に対し、「どの企業が対象なのか不明確だ」という不満の声が相次いでいます。財務省は、上場企業の事業内容を1社ごとに調べ、具体的な企業名を公表する異例の対応をとることになりました。
政府は先週、外国為替法の改正案を国会に提出しました。改正案は原子力や通信など国の安全保障上重要な事業を行う日本企業に外国人投資家が出資する際の規制を強化し、1%以上の株式を取得する場合は、政府に事前の届け出を義務づけます。
一方で、安全保障上の懸念がない投資については、原則、事前の届け出を免除する規制緩和も同時に行う内容です。
しかし、改正案に対して投資家からは、どの企業が事前の届け出の対象になるのか不明確だという不満の声が上がりました。このため財務省は、株式を上場している3000社以上の事業の内容を1社ごとに調べ、どの企業が届け出の対象になるのかリストにして公表することを決めました。
財務省が個別企業の事業内容を判断して分類するのは異例の対応です。
財務省は「説明が十分でない面があり、投資家から問い合わせがあったが、今回の改正で規制強化になるのはごく一部に限られることを理解してもらいたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB