消費税率が10%に引き上げられて1日で1か月となりました。NHKが小売りや外食などの主な企業50社にアンケートを行ったところ、増税にあわせて導入された「軽減税率」について、3分の1を超える企業が仕組みが複雑だとして見直すべきだと考えていることがわかりました。
NHKでは、消費税率の引き上げによる影響を探るため小売りや外食などの主な企業50社を対象にアンケート調査を行いました。
アンケートでは、「酒類と外食を除く飲食料品」などに限って税率を8%に据え置く軽減税率について、「導入によって何らかの混乱があったか」尋ねたところ、全体のおよそ7割にあたる36社が、「混乱はなかった」と回答する一方、「混乱があった」とする企業も小売りを中心に7社ありました。
「混乱があった」と回答した企業に、どのような混乱があったか尋ねたところ、「10%の税率が適用されるイートインを利用する際の課税をめぐって混乱が起きた」とか、「今までになかったオペレーションが発生し、スタッフの負担が増している」といった声がありました。
購入した商品を持ち帰る場合と店内で飲食する場合で税率が異なるために混乱が生まれたことがうかがえます。
さらに、軽減税率について「制度を見直す必要があるか」尋ねた質問では、全体の3分の1を超える18社が、「見直すべきだ」と回答しました。
その理由を自由記述で尋ねたところ、ほとんどの企業が「複雑で理解しづらい」とか、「消費者にとってわかりにくい」などと仕組みの複雑さを挙げました。
外食の企業からは「今後、さらに税率が上がる場合を想定すると、今のままの仕組みでは店内での飲食が減り、売り上げに与える影響が大きい」といった回答もありました。
また、アンケートでは、増税にあわせて始まったキャッシュレス決済のポイント還元制度についても尋ねました。
制度によってどのような経営上の影響があったか聞いたところ、「キャッシュレス決済が増加し、業務の効率が上がった」とか、「売上の伸びにつながった」と評価する声がある一方、「端末の導入・維持や、従業員の研修などで負担が増した」とか、「制度を導入した他社に顧客が流れた」といった回答もありました。
さらに、制度の見直しが必要と考えるか質問したところ、全体の4割近い19社が「見直しが必要だ」と回答しました。
その理由について制度の対象外となった大企業からは、「制度に参加できない企業があり、競争環境がゆがめられている」、「公平な競争の観点から問題が多い」などといった回答が相次ぎました。
また、大手チェーンのフランチャイズの店舗では購入額の2%分が還元されますが、こうしたチェーンからは「業種や店舗によって還元率が異なるのは消費者にとってわかりづらい」とか「同じチェーンで参加できる店とできない店があるのはわかりにくい」といった意見が出されました。
-- NHK NEWS WEB