アメリカのトランプ政権が地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を正式に通告したことを受け、カリフォルニア州をはじめ反発する州の知事らは独自に対策を進める方針を示しました。しかし世界的には途上国の対策の推進にアメリカの支援が期待できなくなるなど懸念も強まっています。
トランプ政権は4日、パリ協定からの離脱を国連に正式に通告し、これを受けてアメリカは1年後の来年11月4日に協定から離脱することになりました。トランプ大統領は4日、支持者を前に演説し、「金がかかり一方的で、おそろしいパリ協定からの離脱を発表した」と述べ、公約の実現をアピールしました。
アメリカでは石油や石炭の産業に関わる共和党の支持者を中心に温暖化対策に否定的な人は少なくなく、トランプ大統領としては来年の大統領選挙に向けて支持を固めるねらいがあるとみられます。
これに対し野党・民主党は強く反発し、有力候補らがパリ協定への復帰を訴えていて、カリフォルニア州やニューヨーク州をはじめ、離脱に反発する全米25の州と自治領の知事らも4日、声明を出して、「経済成長と温暖化対策を両立させる」として独自に対策を進める方針を示しました。
これらの州や一部の大都市、企業では再生可能エネルギーの導入や電気自動車の普及などの取り組みも進めていて、アメリカ国内では政府が協定から離脱しても短期的には温室効果ガスの排出への影響は限られるという見方があります。
一方で、世界第2位の温室効果ガスの排出国であるアメリカの離脱で、すべての国が対策に取り組むというパリ協定の意義が損なわれ、温暖化対策に後ろ向きな国が増えるおそれがあるうえ、途上国の対策の推進にアメリカの支援が期待できなくなり、世界的な影響への懸念も強まっています。
-- NHK NEWS WEB