抗議活動が続く香港で、警察の強制排除の最中に建物から転落して重体となっていた男子大学生が死亡しました。一連の抗議活動で死者が出たのは初めてで、亡くなった学生を追悼しようと各地で集会が開かれ、警察や政府に対する反発が強まっています。
香港政府などによりますと、今月4日、九龍半島側の住宅街で行われた抗議活動に参加していたとみられる大学生、周梓楽さん(22)が建物から転落して重体となっていましたが、8日午前、死亡しました。
ことし6月から始まった一連の抗議活動で死者が出たのは初めてです。
周さんの転落については多くの市民が、当時、現場周辺で警察が催涙弾を使って強制排除を行っていたことが関係しているのではないかという疑いを深めています。
8日午後からは周さんを追悼するとともに警察に抗議しようと各地で集会が開かれ、このうち香港島の中心部では昼休み中の会社員や学生など数千人が「警察は殺人者だ」とか、「今すぐ警察を解体せよ」などと声を上げました。そして、黙とうが呼びかけられると多くの人が静かに目を閉じて祈りをささげ、涙を流す人の姿も見られました。
参加した30代の男性会社員は「1人の将来ある若者がこのように理由もなく命を失ったことはとても残念で悲しい。政府が責任をとるべきだ」と話していました。
SNS上では8日夜も各地で集会が呼びかけられていて、警察や政府に対する反発が強まっています。
-- NHK NEWS WEB