香港では11日朝、抗議活動に参加していた若者に警察官が発砲し1人が重体となったことを受けて、警察に対する反発は幅広い層の市民にさらに広がり、各地で警察との衝突が相次ぎました。一方、警察は、警察に抗議しようと、昼休み中の会社員らが集まった金融街で催涙弾を撃ち込むなど抗議活動を抑え込む姿勢をさらに強めていて、双方の対立は一層激しくなっています。
香港の警察などによりますと11日朝、香港島東側の住宅地で抗議活動に参加していた若者に警察官が発砲し、21歳の男性がけがをして病院で治療を受けていて、重体だということです。
これを受けて午後には、警察に抗議しようと、香港島の中心部にある金融街で抗議活動が呼びかけられ、周辺の金融街で働く昼休み中の会社員など数百人が「警察は殺人者だ」などと声を上げながら路上にあふれました。
集まった多くの市民は、ガスマスクなどの装備をしていない状態でしたが、警察は催涙弾を何度も撃ち込み、通りいっぱいに白い煙が立ちこめたため、スーツ姿の会社員が走って避難するなど混乱が広がりました。
このほか香港では11日、SNS上の呼びかけに応じて道路を塞ぐ市民と、これを取り締まろうとする警察との間で衝突が各地で起き、香港政府によりますと、これまでに発砲を受けた男性を含めて男女合わせて49人がけがをして病院で手当てを受けたということです。
林鄭月娥長官は11日夜、急きょ記者会見し、「きょう発生した交通網への暴力的な妨害は、市民生活に影響が出ただけでなく市民を危険にさらし、学生が警察に撃たれたり、一般市民が火を放たれるなど多くの被害者をもたらしている」として、一部の市民による抗議活動を強く非難するとともに、市民に自制を呼びかけました。
香港では先週、一連の抗議活動が始まって以来初めての死者が出たあと、抗議活動の中心となっている若者以外の市民の幅広い層に警察への反発が広がる一方で、警察は抗議活動を抑え込む姿勢をさらに強めていて、双方の対立は一層激しくなっています。
-- NHK NEWS WEB