働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金」制度について、厚生労働省は年金が減らされる収入の基準額を現在の47万円から51万円に引き上げる案を社会保障審議会に示し、おおむね了承されました。
「在職老齢年金」制度は働いている高齢者の年金を減らす仕組みで、65歳以上の人では給与と年金合わせて月額47万円を上回る場合は減らされます。
しかし高齢者の就労意欲をそいでいるという指摘も出ていることから、厚生労働省は見直しを検討していて、13日の社会保障審議会の部会に年金が減らされる基準額を51万円に引き上げる案を示しました。
先月の部会で厚生労働省は基準額を62万円に引き上げる案と制度そのものを廃止する案の2つを示していましたが、与党内から「所得の高い人にさらに年金が支給されることになる一方、将来世代の支給水準が下がる」などの指摘が出されたため、引き上げ幅を縮小しました。
51万円にした場合、年金が減らされる人は、今よりもおよそ9万人少なくなり、年金の支給総額は年間およそ700億円増えるものの、将来の公的年金の給付水準を示す「所得代替率」は0.1ポイント未満の低下にとどまり、将来世代への影響は限定的だとしています。
この案に対し、委員からは「高齢者の就労を促すものだ」などの賛成意見が出され、おおむね了承されました。
厚生労働省は年内に具体策をまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。
-- NHK NEWS WEB