アメリカのトランプ大統領をめぐるいわゆるウクライナ疑惑で、弾劾調査を進めるアメリカ議会の初めての公聴会が始まりました。証言に立った政府高官は、トランプ大統領側が、ウクライナに対し、軍事支援の再開などと引き換えにバイデン前副大統領の息子が勤めていたウクライナ企業への捜査を要求していたという認識を明らかにしました。
ウクライナ疑惑はトランプ大統領がことし7月のウクライナの大統領との電話会談で、来年の大統領選挙に向けた野党・民主党の有力候補、バイデン前副大統領に不利な情報を得ようと、調査を要求したとされるものです。
民主党が主導する議会下院は13日午前、日本時間の14日未明から、初めての公聴会を開き、ウクライナ政策に関わってきたテイラー駐ウクライナ臨時代理大使ら2人が証言しました。
このなかでテイラー氏は、トランプ大統領の顧問弁護士のジュリアーニ氏が非公式の外交ルートでウクライナ政府と接触するという、異常な状態が存在したと証言しました。
そして、「ホワイトハウスでの会談と、軍事支援の問題を利用しようとしていた。『ブリスマ』の捜査が条件になっていると私は考えるようになった」と述べて、トランプ大統領側が、ウクライナに対し、首脳会談や一時停止していた軍事支援の再開と引き換えにバイデン前副大統領の息子が役員を務めていたウクライナのガス会社への捜査を要求していたという認識を明らかにしました。
さらに、テイラー氏は、トランプ大統領側が、ウクライナ政府に対してバイデン氏の息子が勤める会社の捜査を行うと、公の場で表明するよう要求していたという認識も示しました。
また、同じく公聴会に出席した、ウクライナ政策を担当するケント国務次官補代理は、「ジュリアーニ氏の政治的な動機に基づく、捜査を加速させようという行動が、アメリカのウクライナとの外交関係に影響を及ぼした」と証言し、トランプ大統領の弁護士であるジュリアーニ氏の行動を批判しました。
公聴会の模様は全米に生中継されていて、民主党としては、核心に迫る証言を引き出して弾劾への支持を広げたい考えで、疑惑の解明が進むのか、政府高官らの証言に全米の高い関心が集まっています。
-- NHK NEWS WEB