日産自動車のゴーン元会長が東京地検特捜部に逮捕されたいわゆる「ゴーンショック」からまもなく1年になります。
海外を舞台にした一連の事件で特捜部が中東やヨーロッパなどの少なくとも8か国に捜査共助を要請し、フランスとオマーンには検事を派遣していたことなど、国際捜査の全容が関係者への取材で明らかになりました。
日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告(65)は去年の11月19日、レバノンから到着したジェット機を降りた直後に羽田空港で東京地検特捜部に逮捕され、延べ130日間にわたって身柄を拘束されました。
元会長はみずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載した罪と、日産の資金を不正に支出させた特別背任などの罪で起訴され、ことし4月に保釈されたあとは弁護団との打ち合わせなど裁判の準備を進めています。
一連の事件は日本の捜査権限が及ばない海外が主な舞台で、特捜部が捜査共助を要請した国は中東のオマーンやレバノンのほか、ルノーの本社があるフランス、それに資金移動に使われたとみられる金融機関があるスイスや元会長の息子が経営する会社があるアメリカなど少なくとも8か国に上ることが関係者への取材でわかりました。
特捜部が手がけた国際捜査としてはこれまでで最大の規模で、フランスとオマーンでは日本側の要請に応じてルノーの関係者や日産の現地代理店の関係者への事情聴取が行われ、特捜部の検事も立ち会ったということです。
また、特捜部の捜査結果の一部は海外の当局にも提供され、フランスではことし7月、現地の捜査当局が元会長が会社の資金を流用した疑いでルノー本社の捜索に乗り出し、捜査は現在も続いているとみられます。
ゴーン元会長の裁判は早ければ来年4月にも始まる見通しで、国境を越えて「ゴーンショック」の影響が続く中、裁判や海外での捜査の行方が注目されます。
-- NHK NEWS WEB