アメリカ議会上院は、中国政府が海外の優秀な研究者を国内に招致する事業を通じて、アメリカの技術を不当に入手しているとする報告書を発表し、警戒を強めるよう政府に求めました。
アメリカ議会上院の調査チームは、海外から高度な専門知識を持つ研究者を招致する中国政府の事業「千人計画」に関する報告書を19日までに発表しました。
報告書は「千人計画」が海外の最新技術を手に入れて中国の軍事や経済に役立てるのがねらいで、これまでに7000人以上が勧誘され、アメリカの政府機関や大学が主な標的になっていると指摘しています。
そのうえで、具体例としてアメリカのエネルギー省の研究機関やNIH=国立衛生研究所の研究者が「千人計画」に加わっていた例を10件示し、中国での共同研究や中国への転職を通じて大量の研究データが不当に中国に持ち出されたなどとしています。
また、技術移転を防ぐための政府の対応が遅すぎると指摘し、警戒を強めるよう求めています。
報告書の発表を受けて行われた議会上院の公聴会で、FBI=連邦捜査局の幹部は、アメリカの研究者が「千人計画」に加わること自体は違法ではないと強調する一方で、企業秘密が盗み出されるなど法に触れる場合も見られるとして捜査を強化していると釈明しました。
-- NHK NEWS WEB