ことし6月、大手製薬会社「エーザイ」が、てんかんの治療薬を開発するために行った臨床試験で、薬を投与された健康な男性が高いところから飛び降りて死亡し、厚生労働省は、薬の投与が死亡の原因となったことが否定できないとする調査結果をまとめました。近く、エーザイなどに適切な臨床試験を行うよう文書で指導することにしています。
この問題は、大手製薬会社のエーザイが新しい抗てんかん薬を開発するために東京 墨田区の病院で行った臨床試験で、ことし6月に薬を投与された健康な20代の男性が、退院した翌日に電柱から飛び降りて死亡したものです。
こうした臨床試験で健康な被験者が死亡するのは極めて異例で、厚生労働省が調査を進めてきました。
その結果、死亡した男性は、退院した日に医師に対し、「入院中、幻聴などがあった」と訴えていたことが分かりました。
厚生労働省は死亡した男性には精神科の受診歴が無く、類似するほかの抗てんかん薬の一部に自殺を図るリスクがあることなどから、「薬の投与が死亡の原因となったことが否定できない」とする見解をまとめました。
そのうえで、臨床試験の問題点として、精神科医の診察が受けられない病院で行っていたことや、男性に自殺を図るリスクがあることを口頭で説明していたものの書面で詳しく提示していなかったことなどを指摘し、近く、エーザイや医療機関に対して、適切な臨床試験を行うよう文書で指導することになりました。
エーザイは今回の臨床試験を中止していて、「調査結果を真摯(しんし)に受け止め、被験者様の安全性確保に向けた対策を講じて参ります」とコメントしています。
-- NHK NEWS WEB