去年、走行中の東海道新幹線の車内で乗客の男女3人が刃物で殺傷された事件の裁判で、亡くなった男性の遺族が語った「理不尽な事件が二度と起きないよう判決では正しい判断をしてもらいたい」という調書が読み上げられました。
小島一朗被告(23)は、去年6月、神奈川県内を走行していた東海道新幹線の車内で、なたで切りつけるなどして兵庫県尼崎市の会社員、梅田耕太郎さん(当時38)を殺害し、女性2人にけがをさせたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われています。
5日、横浜地方裁判所小田原支部で開かれた裁判では、亡くなった梅田さんの母親と妻の調書を検察官が読み上げました。
このうち母親の調書では「子どものころから思いやりがあり、父の日や母の日には毎年花を送ってくれたほか、夫は息子と打つ囲碁を楽しみにしていた。なにものにも代えがたい最高の息子でした」と話していたことを明かしました。
そのうえで、梅田さんが襲われた女性を助けようと止めに入って犠牲になったことについては「逃げてほしかったという思いはありますが、立ち向かう選択は、強い意志があったと思います」と述べた部分も読み上げられました。
一方、妻は「共働きで多忙でしたが、月に一度は共通の趣味の旅行に出かけて、準備や手配は夫がしてくれました。とても優しく、私だけでなく、周囲の誰からも愛される人でした」と梅田さんの人柄を説明したということです。
そして「犯人をどんなに憎んでもどのような処罰がされても、夫はかえってきません。理不尽な事件が二度と起きないよう判決では正しい判断をしてもらいたい」と厳しい処罰感情がうかがえる内容が読み上げられました。
-- NHK NEWS WEB