政府は来年度の税制改正で、実際には多額の利益を上げている企業が、子会社との株式の取り引きなどを利用して、税務上赤字を計上し納税を回避する行為を防ぐため、制度を見直す案をまとめました。子会社から一定の配当を受けた場合は、子会社の株式の評価を引き下げるとしています。
企業が納める法人税をめぐっては、決算上は多額の利益を上げている企業が、海外にある子会社との間で株式の配当や譲渡によって巨額の損失が生じた形を取って税務上は赤字を計上し、国内での法人税を支払っていなかったケースがありました。
政府は、こうした納税回避を防ぐため、自民・公明両党の税制調査会に制度を見直す案を示しました。
それによりますと、企業が50%を超える株式を保有する子会社から、1年間に株式を取得した際の価格の10%を超える額の配当を受けた場合、株式の価格から配当額のうちの非課税分を減額して株式の評価を引き下げます。
これによって配当を支払ったあと、価値が下落した子会社の株式を譲渡することで、巨額の損失を生じさせるといった納税を回避する行為ができないようにします。
政府 与党は、この案を12日取りまとめる来年度の税制改正大綱に盛り込み、企業が実態にあった納税を行うよう促すことにしています。
-- NHK NEWS WEB