自民党税制調査会は11日開いた小委員会で、未婚のひとり親も、配偶者と死別や離婚した親と同じように所得税を軽減することなどを盛り込んだ、来年度の税制改正大綱の内容を固めました。
それによりますと未婚のひとり親に対しても、配偶者と死別したり離婚したりしたひとり親と同じように、年間の所得が500万円以下の世帯を対象に、所得税と住民税を軽減する「寡婦控除」を適用するとしています。
一方、「寡婦控除」をめぐっては現在、男性にのみ所得制限があり「不平等だ」という批判があることを踏まえ、女性にも同じ所得制限を設けるとしています。
また、次世代の通信規格、5Gの導入を促進するため、基地局を整備する携帯電話会社などに対し、政府の審査で認定されれば来年度から2年間、投資額の15%を法人税から差し引くか、1年間に損金として処理できる額を30%に拡大して法人税を軽減するかのどちらかを認めることが盛り込まれています。
さらに、企業の内部留保を投資に回す環境を整えるため、来年度から2年間、設立後10年未満で上場していないなど、一定の要件を満たした国内のベンチャー企業に対し、国内の大企業などが1億円以上を出資した場合、出資額の25%を課税所得から差し引くとしています。
個人投資家向けの優遇税制の「NISA」については、投資期限が切れる2024年以降も制度を5年間延長するとともに、仕組みを見直すとしています。
具体的には、比較的リスクの低い投資信託などに対象を限った年間、最大20万円の「積み立て枠」を新たに設けたうえで、従来のように株式に投資できる、最大102万円の「投資枠」を作るとしています。
長期の資産運用向けの優遇税制「つみたてNISA」は、2042年まで期限を延長し、2023年までに始めれば、20年間の投資期間を確保できるようにするとしています。
このほか、所有者不明の土地を減らして固定資産税を適正に課税するため、各自治体が条例で土地を相続した人に対し、登記をする前に、氏名や住所などを自治体に申告することを義務づけることができる制度や、空き地を売却しやすくして土地の有効活用を促そうと、売却額が500万円以下の土地を対象に、税の負担を軽くする措置も盛り込まれています。
自民党の甘利税制調査会長は11日、安倍総理大臣とも会談し、未婚のひとり親への措置などについて確認していて、このあと公明党とも内容を固めたうえで12日、来年度の税制改正大綱を正式に決定することにしています。
-- NHK NEWS WEB