太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で、韓国国会のムン・ヒサン(文喜相)議長は、解決を目指して独自にまとめた法案を18日夕方、国会に提出しました。しかしムン・ジェイン(文在寅)政権は、この法案への立場を明らかにしておらず、問題解決の糸口となるのかは不透明な状況です。
韓国国会のムン・ヒサン議長は、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決を目指して独自にまとめた法案を、与野党の13人の議員とともに18日夕方、国会に提出しました。
法案では、日韓両国の企業や国民から寄付を募って「記憶・和解・未来財団」を設立し、韓国政府も運営費を拠出するとしています。
そして財団への寄付は「強制しない」としたうえで、集まった寄付を財源として韓国での裁判で「日本企業で働かされた」と主張して勝訴した原告などに慰謝料を支払う仕組みを盛り込んでいます。
さらに慰謝料を受け取った人は日本企業の資産を差し押さえたり、裁判で損害賠償を求めたりする請求権を「放棄したとみなす」としています。
ムン議長らは旧日本軍の軍人や軍属などへの支援を定めた法律の改正案も提出し、財団に集まった寄付を活用して、本人や遺族に慰労金を支払うことも提示しました。
法案の提出を受けてムン議長は「こう着状態に陥り、悪化の一途をたどっている両国関係が、過去を直視すると同時に未来志向の関係となるよう、この法案が呼び水になることを望む」とコメントしています。
しかし、今回の法案には裁判の一部の原告や市民団体が反対しているほか、ムン・ジェイン政権は立場を明らかにしておらず、問題解決の糸口となるのかは不透明な状況です。
-- NHK NEWS WEB