全世代型社会保障制度の実現に向け、政府の検討会議が中間報告をまとめ、現役世代の負担上昇を抑えるため、年齢ではなく所得などに応じて負担を求める考え方に見直す必要があるとしています。焦点となっていた75歳以上の医療制度については、原則1割となっている病院などでの窓口負担を、一定所得以上の人は2割とすると明記しました。
政府の「全世代型社会保障検討会議」は、時代にあわせた社会保障制度のあり方について9月から議論を始め、きょうの会合で中間報告をまとめました。
それによりますと、いわゆる団塊の世代が75歳になり始める2022年を見据え、現役世代の負担の上昇を抑えながら、すべての世代が安心できる制度を構築するため、年齢ではなく所得などに応じて負担を求める「応能負担」の考え方に見直す必要があるとしています。
▼医療分野では、◇焦点となっていた75歳以上の後期高齢者医療制度について、原則1割となっている病院などでの窓口負担を、「一定所得以上の人は2割とする」と明記し、2022年度のはじめまでに実施できるよう、所得の基準などを、さらに検討するとしています。
また、◇紹介状のない患者が大きな病院を受診する場合、初診で5000円以上を診察料に上乗せする制度では、対象となる病院を病床数400床以上から200床以上に広げるとともに、負担額も増額するとしています。
▼年金分野では、厚生年金の短時間労働者への適用範囲を広げ、加入条件となっている企業規模を、現在の「501人以上」から、3年後に「101人以上」に、5年後に「51人以上」にまで段階的に引き下げるとしています。
▼労働分野では、70歳までの就業機会の確保に向けて、定年の廃止や延長などの選択肢を示し、いずれかの措置をとることを企業の努力義務とすることなどを盛り込んでいます。
安倍総理大臣は、「元気で意欲ある高齢者が生涯現役で活躍できる社会をつくる中で、75歳以上の高齢者であっても、一定所得以上の方については、医療費の窓口負担割合を2割とし、現役世代の負担上昇を抑えながら、すべての世代が安心できる制度を構築することにした。来年夏の最終報告に向けて、さらに具体的な検討を進めていきたい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB