原子力事業で7000億円を超える損失を計上する見通しとなった東芝は、経営の再建に必要な資金を工面するため、主力の半導体事業を分社化する方針ですが、売却する株式の割合をめぐって、社内や主力銀行との間で意見の隔たりがあり、どのように売却を進めるかが大きな焦点となります。
東芝は、経営の再建に必要な資金を工面するため、利益の大半を稼ぎ出している半導体事業を分社化し、その新会社の株式の20%未満を、来月末までに売却する方向で、売却先を選ぶ入札を進めていました。
株式の買い取りには、複数のファンドやメーカーが名乗りを上げていますが、売却する株式の割合が小さいことなどを背景に交渉は思うように進んでいませんでした。
このため、東芝は、14日、売却する株式の割合を過半数に引き上げることを検討すると発表し、綱川智社長は記者会見で、半導体事業を他社に完全に売却する可能性も排除しない考えを示しました。
半導体事業を完全に手放したり、売却する株式の割合を増やしたりすれば、それだけ多くの資金を確保できますが、その一方で、利益の大半を稼ぎ出してきた主力事業や、その主導権を失うことにもなります。このため、東芝の社内には、株式の過半数を売却することは今後の経営への悪影響も大きいため、避けるべきではないかという意見がある一方、主力の取引銀行の間では、経営の主導権を失ってでも、多くの資金を確保して財務状況を抜本的に改善するべきだという意見もあります。
このため、東芝の再建に向けては、主力の半導体事業について入札条件の変更や他社への完全売却も含めて、どのような方針をとるのかが大きな焦点となります。
-- NHK NEWS WEB