電子カルテに記録された患者の情報など、大量の医療データを集約し、人工知能=AIを活用するなどして病気の治療などに役立てる国の取り組みがことし本格的に始まります。
電子カルテやCT画像のデータといった患者に関わる大量の情報=「医療ビッグデータ」をAIを活用するなどして解析すると、病気の早期発見や、最適な治療の選択、それに新薬の開発にも役立つと考えられています。
しかし患者に関する情報は全国の医療機関に分散しているうえ、匿名にされておらず、活用が難しい状態が続いてきました。
こうした中で、内閣府などは先月、医療機関が持つ患者のデータを匿名にする事業者を初めて認定しました。
これは研究機関や企業に患者データを提供し、活用してもらう仕組みを整備する「次世代医療基盤法」に基づくもので、認定を受けた京都大学の名誉教授が代表理事を務める「一般社団法人ライフデータイニシアティブ」などは大規模な病院を中心に患者のデータを集めて匿名化し、2021年度には年間500万人分を超えるデータを集めるとしています。
早ければ、ことし春以降、研究機関や製薬会社などにデータを提供できるようになるということで、医療ビッグデータの活用が本格的に始まることになります。
内閣府医療情報基盤担当室の田中謙一参事官は「一人一人の医療情報の提供が次の世代の医療の進歩につながる」と話しています。
-- NHK NEWS WEB