海外への渡航を禁じられていた日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告が秘密裏に中東のレバノンに出国した問題について、レバノンでは擁護する声がある一方、著名なジャーナリストが「特権階級にだけ起こることだ」と指摘するなど、元会長やこうした状況を容認しているレバノン政府に批判的な声も強まっています。
日産自動車のゴーン元会長は、保釈中、海外への渡航が禁じられていましたが、ひそかに出国して先月30日にレバノンに入国し、近く記者会見を行って、一連の経緯やみずからの立場を説明するとしています。
レバノンでは世界的な企業連合のトップに上りつめ成功をおさめたゴーン元会長を擁護する声がある一方、批判的な声も強くなっています。
レバノンの著名なジャーナリストのダイアナ・ムカレッドさんはNHKとのインタビューで、ゴーン元会長について「資金と力があるからこそ入国することができた。これは特権階級の人々だけに起こりうることだ」と指摘しました。
そして「政府が特別扱いしているとみなされた場合、人々の怒りがさら強まることになる」と述べ、レバノン政府の対応によっては、去年10月から続く若者たちの抗議デモがさらに強まる可能性があると指摘しました。
ゴーン元会長をめぐって、レバノン当局はICPO=国際刑事警察機構からの国際手配書に基づいて、元会長から話を聞く方針で、レバノン政府の対応にも厳しい目が向けられています。
-- NHK NEWS WEB