北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム(金正男)氏が、マレーシアで殺害されたと見られることについて、遺体の状況などから、殺害に使われたのは神経性の毒ガスとみられ、猛毒のVXの可能性もあることが、複数の韓国政府関係者への取材でわかりました。
マレーシアのクアラルンプール国際空港で、今月13日、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム氏と見られる男性が、体調不良を訴えて病院へ搬送される途中で死亡し、韓国の情報機関は、北朝鮮の工作員が毒物を使って殺害したという見方を示しています。
マレーシアの警察は、15日までに遺体の検視を終えたとしており、最終的な死因の特定を急いでいます。
これについて、複数の韓国政府関係者は、NHKの取材に対し、遺体の状況などから、殺害に使われたのは神経性の毒ガスとみられ、猛毒のVXの可能性もあることを明らかにしました。VXは、皮膚に触れたり、吸い込んだりすると、神経に作用して呼吸が止まる毒ガスで、日本でも平成6年、オウム真理教の信者が大阪の会社員の男性を襲撃して殺害した事件で使われました。
関係者によりますと、北朝鮮の工作員は、VXを暗殺のために用いることが多く、今回も北朝鮮による犯行の疑いが一段と強まったとしています。韓国の情報機関、国家情報院は15日、北朝鮮軍で工作員による潜入や情報収集などを担う対外工作機関、偵察総局の工作員が毒物を使って殺害したもので、キム委員長の承認のもとで決行されたという見方を示しています。
-- NHK NEWS WEB