11日行われる台湾の総統選挙に向けて、蔡英文総統の再選を阻止する工作活動を指示されていたと滞在先のオーストラリアで証言した中国人男性の元に、証言の撤回を迫る脅迫文が届き、蔡総統の対立陣営の国民党の幹部らが関わっていたとみられると、現地のメディアが伝えました。この幹部は事実関係を否定していますが、選挙を直前に波紋が広がっています。
中国人の20代の男性は去年11月、滞在先のオーストラリアのメディアへのインタビューに対し、勤務先の香港の会社の幹部から指示を受け、おととしの台湾の統一地方選挙で親中的な候補が当選するよう工作活動に関わったほか、11日に行われる総統選挙に向けても蔡総統の再選を阻止するよう指示を受けていたと証言しました。
これについて、オーストラリアの大手紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」などは9日、先月24日以降、男性の元に、証言を撤回しなければ命をねらうなどと書かれた脅迫文が、何度も届いていたと伝えました。
文面では「与党 民進党から、多額の金銭を受け取る見返りに、うその証言をするよう持ちかけられていた」と証言し直すよう脅していたということで、脅迫には野党 国民党の幹部や中国を拠点に活動するビジネスマンが関わったとみられると報じています。
オーストラリアの連邦警察も男性への脅迫の事実を把握していて、捜査に乗り出したことを明らかにしました。
一方で、国民党の幹部は9日午前、台北で記者会見を行って、脅迫の事実を否定しましたが、総統選挙を直前にして台湾では波紋が広がっています。
-- NHK NEWS WEB