安倍総理大臣は、衆議院予算委員会の集中審議で、働き方改革をめぐり、一定の時間、働いたものと見なして賃金を支払う「裁量労働制」を拡充するにあたっては、対象業務を限定するとともに健康管理も行うなど、働く人の立場を守る制度にしていく考えを示しました。
この中で、民進党の長妻元厚生労働大臣は、国会で継続審議となっている、実際に働いた時間とは関係なく、一定の時間、働いたものと見なして賃金を支払う「裁量労働制」の拡充などを盛り込んだ労働基準法の改正案をめぐり、「長時間労働が増える危険な法案で、『働き方改悪』だ。労働の規制緩和のしわ寄せが弱い立場の働く人にいく。法案を撤回すべきだ」と主張しました。
安倍総理大臣は、「自律的で、多様な働き方を可能にするために行うもので、制度の対象は、業務をみずからの裁量で遂行できる知識や経験を有する人に限定される。本人の同意も必要で、極めて限られた範囲になっていく」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は、「『企業の論理だけに傾きがちになるのではないか』という懸念はあるだろうが、今回新たに健康管理をしっかり行なっていくこと、対象業務は、労使同数の委員会の決議で選定される仕組みになっており、働く方の立場をしっかりと守っている」と述べました。
また、塩崎厚生労働大臣は、大手広告会社、電通の新入社員が過労のため自殺した問題に関連して広告業務が改正案の対象となるかどうか問われたのに対し、「広告会社が他社の商品開発をコンサルティングするような業務は対象にはならない。また個別の広告の制作や広告枠の営業業務は当然対象にはならない」と述べました。
さらに、加藤働き方改革担当大臣は、退社してから次の日の勤務開始までに一定の休憩時間を設ける「勤務間インターバル」に関して、「日本で導入している企業は2.2%という水準で、罰則付きのインターバル規制は、今、直に導入しうる環境にはない。まずは導入する中小企業への助成金の創設などを通じて環境整備していく」と述べました。
-- NHK NEWS WEB