中国で新型のコロナウイルスの感染が拡大する中、日本のメーカーが多く進出する南部 広東省では、従業員が帰省先から戻れず、稼働が落ち込んで日本向けの出荷に遅れが出るなどサプライチェーンへの影響が深刻になっています。
「世界の工場」とも言われる広東省でトラックのブレーキやエンジンの部品を製造する自動車部品メーカーの三好次夫会長は、今月14日に工場を再開させました。
しかし、交通規制の影響で帰省先から戻れなくなったり、戻る際に湖北省を通過したため2週間の自宅待機になったりして、従業員140人のうち7割しか出社できていません。
湖北省出身の従業員8人は出社のめどが立たず、このうち製造管理者の男性はスマートフォンのビデオ通話を通じて「街が封鎖され、近所でも2人の感染者が出た。自分も4日間、家から出ていない。早く仕事に戻りたい」と話していました。
会社は製品の7割近くを大手トラックメーカー向けに日本に出荷していますが、人手不足で稼働が落ち込み、一部の出荷に遅れが出ているほか、今月の売り上げは去年の同じ時期の半分程度に落ち込む見通しだということです。
さらに、材料は来月分まであるものの、材料を供給している湖北省にある企業の再開の見通しが立たないため、代替品の調達を行っているということです。
会社は、工場内での感染を防ぐため従業員の体温測定や手の消毒を励行しているほか、食堂では従業員どうしの接触をなるべく避けるため、1つのテーブルに1人だけ座るようにしていました。
また、外務省が中国に滞在する日本人に一時帰国を至急検討するよう呼びかけていることについては、当面は現地にとどまり生産を維持する方針だとしています。三好会長は「事態は予想以上に深刻で、いつまで続くのか見通しが立たないのが心配です。毎日不安ですが、頑張るしかありません。会社で1人も感染者を出さずに生産を続けていきたい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB