幼い子どもなどの全身の筋力が低下する難病の治療薬「ゾルゲンスマ」が、国の承認を受け、医療保険で治療が受けられる見通しとなりました。高い効果が期待される一方、アメリカでは価格が2億円を超えて世界一高い薬とも言われ、厚生労働省は今後、国内でどのような価格に設定するのか議論することにしています。
承認を受ける見通しとなったのは難病「脊髄性筋萎縮症」の治療薬で、製薬会社のノバルティスファーマ社が申請していた「オナセムノゲンアベパルボベク」、商品名「ゾルゲンスマ」です。
26日に開かれた厚生労働省の審議会で承認する方針が示されました。
脊髄性筋萎縮症は、遺伝子の一部が変異することで全身の筋力が低下する難病で、生後まもない乳児のうちに発症すると、2歳になるまでに9割の子が死亡するか人工呼吸器が必要になるとされています。
「ゾルゲンスマ」は、特定の遺伝子を持つウイルスを体内に入れることで、神経や筋肉の機能が失われるのを食い止めます。
厚生労働省によりますと、1回の点滴で効果があり、海外の臨床試験では投与された生後9か月までの乳児全員が、2歳まで人工呼吸器が必要なく成長したということです。
国内では毎年、およそ20人の新生児がこの難病を発症していて、ゾルゲンスマは2歳未満の乳幼児が保険適用の対象となる見通しです。
アメリカでは去年5月に承認されましたが、1回の費用が2億円を超えて、世界一高い治療薬とも言われています。
「ゾルゲンスマ」は今後、1か月程度の手続きを経て正式に承認される見通しで、厚生労働省は国内でどのような価格に設定するのか議論することにしています。
-- NHK NEWS WEB