アメリカでドナルド・トランプ氏が大統領に就任してから20日で1か月になります。「アメリカ第一主義」を掲げて経済では保護主義的な姿勢を打ち出す一方で、一部の外国人の入国を禁じた大統領令や人事で混乱を招くなど波乱の船出となりました。
トランプ大統領は、就任から1か月になるのを前に週末恒例のビデオ演説を公表し、「われわれは、必要のない規制を撤廃して国民の雇用を取り戻す措置を最初の数週間で行った」と述べるなど、経済面での成果を強調しました。
トランプ大統領は、就任後、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明したほか、17日にはアメリカ企業が外国に工場を移転した場合「重い罰を受ける」と述べて、輸入製品に高い税をかける方針を改めて強調するなど保護主義的な姿勢を打ち出しています。
また外交では、これまでにイギリス、日本、カナダ、それにイスラエルの首脳をホワイトハウスに招いて会談し、同盟国との関係を重視する方針を示しました。中でも安倍総理大臣にはみずからの別荘に招待し、ゴルフ外交も交えた異例の厚遇ぶりが目立ちました。
一方、中東など7か国の人の入国を禁止した大統領令をめぐっては、イスラム教徒を対象にした差別的な措置だとして抗議デモや提訴が相次ぎ、裁判所の決定を受けて執行が停止された状況です。
さらに、トランプ大統領の側近で安全保障政策の要となるフリン大統領補佐官が、ロシアの駐米大使との会話をめぐって辞任に追い込まれるなど、アメリカメディアは、混乱を招いた1か月だったと伝えています。
大半の世論調査でトランプ大統領の支持率は歴代政権に比べて低く、世論調査会社ギャラップは「平均より20ポイントも低い。特に野党・民主党支持者からの支持がほとんどない」と分析していて、波乱の船出となっています。
-- NHK NEWS WEB