北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の兄、キム・ジョンナム(金正男)氏がマレーシアで殺害された事件で、警察に拘束された北朝鮮国籍の容疑者は、マレーシアでの受け入れ先とされた会社で働いていた実態がないことが明らかになりました。
マレーシアの警察に先週、拘束された北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル容疑者は、クアラルンプールの健康食品などを扱う会社を受け入れ先として労働ビザを取得していました。
この会社の社長が20日、クアラルンプールでNHKなどの取材に応じ、4年前、北朝鮮の知人から「自分のおいだ」と紹介を受け、リ容疑者のビザの取得を手助けしたことを認めました。
しかし出勤させたり、給与を支払ったりすることはなかったということで、ビザの受け入れ先となった理由については、リ容疑者を仲介人にして、北朝鮮との間でパームオイルなどの貿易を手がけるつもりだったと説明しています。
リ容疑者は、クアラルンプール郊外で妻や私立大学に通う娘とされる女性と暮らしていて、ほかに何らかの手段で生活費を得ていたものと見られます。リ容疑者について地元紙は、事件で情報収集などの役割を担っていたと伝えています。
この社長は10回以上、北朝鮮に渡航した経験があり、ほかにも何度か北朝鮮国籍の人物のビザ取得を手助けしたということで、リ容疑者の拘束については、「ショックを受けている。謙虚な男で、先月、会ったときも変わった様子はなかった」と話しています。
-- NHK NEWS WEB