東京に住む40代の男性が、夫婦関係が事実上、破綻していたのに、妻が凍結していた受精卵の移植に同意する書類を偽造して出産したとして、子どもとの法的な親子関係を認めないよう求める訴えを、大阪家庭裁判所に起こしていたことがわかりました。一方、妻側は「男性には伝えていた」として、訴えを退けるよう求めています。
訴状などによりますと、東京に住む40代の会社員の男性は、同じく40代の妻との間で事実上、夫婦関係が破綻していましたが、「子どもがほしい」と妻が訴えたため、都内のクリニックで体外受精に協力しました。
受精卵の移植は夫の同意がなければできませんが、男性の代理人の弁護士によりますと、妻が夫の署名を無断で同意書に書き込んでクリニック側に提出して妊娠し、その後、去年1月に女の子が生まれたということです。
これについて、男性は同意なく出産され、養育費などを強要されるのは苦痛だとして、子どもとの法的な親子関係を認めないよう国に求める訴えを、大阪家庭裁判所に起こしたということです。
男性の代理人の若松陽子弁護士は記者会見し、クリニック側も男性に直接、意思を確認しなかったとしたうえで、「かわいそうなのは生まれてきた子どもだ」と主張しました。一方、妻側は、これまでに裁判所に出した書面で「男性には受精卵の移植を受けると伝えていて、同意書は代筆して作成した」と主張し、訴えを退けるよう求めています。
受精卵の移植手術を行った東京のクリニックは「裁判が始まっている以上こちらからはコメントできない」としています。
-- NHK NEWS WEB