週明けの国際的な原油価格は、新型コロナウイルスの影響による原油の需要の落ち込みに歯止めをかけようとした産油国の協議の決裂で急落し、安値が続いています。この事態を受けてサウジアラビアが協調路線からシェアを奪う戦略に切り替えたと伝えられ、供給過剰への懸念も強まっています。
新型コロナウイルスの影響による中国を中心とした経済活動の停滞で、原油の需要の落ち込みが見込まれる中、サウジアラビア主導のOPEC=石油輸出国機構とロシアなど非加盟の産油国が先週、価格の下支えを目指して協議しましたが、決裂しました。
この結果、3年前から続いてきた各国の協調減産の体制が崩れて、週明けの国際的な原油価格は急落し、
▽ロンドンの市場で取り引きされている北海産の原油の先物価格は1バレル=31ドル台、
▽ニューヨーク市場のWTIの先物価格は時間外取り引きで1バレル=27ドル台をつけて、いずれも先週末より30%以上安い記録的な落ち込みとなりました。
その後も、日本時間の午前4時の時点で
▽北海産の原油の先物価格は1バレル=34ドル台、
▽WTIの先物価格は1バレル=31ドル台と、先週末より20%以上安い水準が続いています。
この背景には、協議決裂を受けてOPEC最大の産油国サウジアラビアが協調路線から抜け出し大規模な増産に踏み切って、ほかの産油国からシェアを奪う「価格戦争」の戦略に切り替えたという見方が広がったことがあります。
市場関係者は「新型コロナウイルスの影響で需要の落ち込むが見込まれるところに、供給が一段と増えるという見方も強まり、価格の値下がりが加速した」と話しています。
市場では原油価格の急落でアメリカの石油産業や中南米やアフリカの産油国の経済にも影響が及びかねないと受け止められ、株式市場で株価下落にも拍車をかけています。
-- NHK NEWS WEB