新型コロナウイルスの「感染者だ」といううその情報をインターネット上で流された長野県松本市の男性が、NHKの取材に応じ、「うその情報がどんどん拡散して非常に怖さを感じた」と語りました。
うその情報を流されたのは、松本市で住宅建築会社の「小林創建」を経営する小林稔政さん(46)です。
長野県では、先月25日、松本保健所の管内に住む60代の会社役員の男性が、新型コロナウイルスに感染していたことが確認されました。
小林さんによりますと、その直後から、この感染者が小林さんであるといううその情報がインターネット上に出回るようになったということです。
小林さんが確認しただけでも、「感染者がいるのは小林創建だ」とか、「感染したのは社長夫婦だそうだ」といった情報が出回ったということです。
小林さんは当初、社内で誰も感染していないうえ、感染者が60代で自分は46歳であることなどから、うその情報が出回っていることを重く受け止めていませんでした。
しかし、取引先からも問い合わせが相次いだため、弁護士に相談し、対応を検討したということです。
そして、今月2日には、会社のホームページに「弊社の社員がコロナウイルスの感染者であるといううわさ話は事実と異なります」と情報を否定する内容の文章を掲載しました。
さらにその後、松本市などで配られたフリーペーパーや、8日付けの地元の新聞に、同じ内容の広告を出して、改めて情報を否定したということです。
今のところ、経営への影響は出ていないということですが、小林さんは「うわさに尾ひれが付いてどんどん拡散してしまい、コントロールできない状況に非常に怖さを感じました。不安な気持ちは分かりますが、デマを拡散していいわけがありません。何が正しくて、何がうそなのか、自分でしっかりと情報を判断してもらいたいです」と話しています。
-- NHK NEWS WEB