イタリアのミラノ出身で在日イタリア商工会議所のフランチェスコ・リナレッリ副事務局長は感染拡大の背景について、イタリアの中国との経済的なつながりの深さや、日常的なコミュニケーション方法などが影響を与えたのではないかとしています。
日本とイタリアの企業向けに情報提供の役割を担っている商工会議所では、今回の事態をうけて本国の企業への聞き取りを行ったり、地元メディアの報道ぶりを調べたりしています。
リナレッリさんはイタリアで感染が広がっている背景として「イタリア北部には大企業だけでなく、中国と経済的なつながりを持つ中小企業がとても多い。1月や2月に中国に滞在していたイタリア人が現地で感染して、帰国後に感染が広がったのではないか」と分析しました。
また、「イタリア人はキスやハグをよくするし、会話しながら相手の体に触れることもある。仕事が終わったら、友人とバーに行ったり、ビュッフェスタイルの食事をしたりして、人と一緒に時間を過ごすことが多い。相手との距離が近いことが感染拡大に影響した可能性がある」として、日常的なコミュニケーション方法が感染しやすい状況をつくったのではないかという考えを示しました。
さらに「イタリアでは当初、新型コロナウイルスに対して、インフルエンザと似たようなものだから、心配しなくてよいという声が多かった。旅行業界から観光が盛んなイタリアで恐怖をあおらないでほしいという声も出ていたし、経済を優先したほうがよいということで『ミラノは止まらない』というハッシュタグがはやっていたほどだ」と話し、経済的な影響を懸念した結果、対応策が後手に回ってしまったのではないかという見方を示しました。
-- NHK NEWS WEB