ことしの春闘は11日、経営側が労働組合に一斉に回答を示す集中回答日を迎えました。新型コロナウイルスの感染拡大で景気の先行きに対する不透明感が増す中、トヨタ自動車が7年ぶりにベースアップをゼロとする回答を示すなど、去年に比べて低い水準にとどまるところが相次いでいます。
自動車や電機などの製造業を中心におよそ200万人の労働者が加盟する「金属労協」では、大手企業の回答の金額が次々と報告されています。
11日は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、人が集まる状況を避けて、報道各社の代表が事務所に入り、撮影を行いました。
自動車業界では、
▽トヨタ自動車がベースアップをゼロとする回答を示し、決着しました。ベアを見送るのは7年ぶりです。また定期昇給などを含めた賃上げの総額については、去年の妥結額を2100円下回る1人当たり月額8600円の引き上げで妥結しました。
▽日産自動車は、ベアなどを含む賃上げの総額として組合側が9000円の引き上げを求めていましたが、厳しい業績を踏まえ、回答額は7000円と、去年の妥結額を下回りました。
電機業界では、ベアに相当する賃上げについて月額1000円以上とする案を基に労使が交渉を進め、このうちパナソニックが、賃上げと確定拠出年金の拠出額の引き上げを含めて総額1000円を回答しました。
また日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の鉄鋼大手3社は、そろってベースアップに相当する月額賃金の引き上げを、再来年度・2021年度までの2年間見送ると回答しました。賃金改善を見送るのは7年ぶりです。
ことしは、新型コロナウイルスの感染拡大で景気の先行きに対する不透明感が一段と増す中、去年と比べて低い水準にとどまるところが相次いでいて、今後、交渉が本格化する中小企業にどう影響するのか注目されます。
-- NHK NEWS WEB