アメリカのトランプ大統領は日本時間の12日午前、国民向けの演説を行い、アメリカ国内での新型コロナウイルスの感染の拡大を抑えるためヨーロッパからの入国を停止することを明らかにしました。
トランプ大統領は「これは金融危機ではない」と述べ、経済的な影響を抑えるために中小企業向けの新たな金融支援策などを導入したい考えを明らかにしました。
トランプ大統領は現地時間の11日夜、日本時間の12日午前、大統領執務室からテレビ演説を行いました。
この中では「現代史において外国のウイルスに対抗する最も攻撃的かつ包括的な取り組みだ」と述べたうえで、中国からの渡航制限を行うなど初期段階から適切に対処してきたと強調しました。
そして「ヨーロッパからの入国を30日間にわたって停止する」と述べて、感染が拡大しているヨーロッパからの入国を現地時間の13日から停止し、水際対策を強化する考えを明らかにしました。ただし、イギリスは、含まないとしています。
また、記録的な株価の乱高下が続くなど金融市場が動揺していることを念頭に「これは金融危機ではない。われわれが国家として、そして、世界として共に乗り越えなければならない瞬間にすぎない」と主張しました。
そのうえで新型コロナウイルスで影響を受けた中小企業向けに低利の融資を提供するため、500億ドル、日本円で5兆2000億円規模の新たな支援策を導入したい考えを明らかにしました。
アメリカでは感染の拡大に歯止めがかからず、首都ワシントンや全米各地の州で非常事態宣言が出され、マスクが品薄になるなど、国民の間で急速に不安が広がっています。
トランプ大統領としては歴代の大統領が重要な政策などを説明する際に使用してきた大統領執務室からテレビ演説を行うことで、新型コロナウイルスの感染の広がりに、適切に対応していると強調し、国民と市場の動揺を抑えるとともに、今後の政権運営やさらにはことし11月の大統領選挙に影響が及ぶことをさけたいねらいがあるものと見られます。
-- NHK NEWS WEB