臨時休校で仕事を休まざるを得なくなった保護者の所得を補償するため、国が新たに設けた助成制度をめぐり、日本郵政グループが制度の利用は、年次有給休暇を使い切った場合に限るなどとする文書を従業員に示していることが分かりました。厚生労働省は、年次有給休暇は労働者の意思で取得するもので、使用者が一方的に取らせた場合は法の趣旨に反するとしています。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため今月から始まった臨時休校で、仕事を休まざるを得なくなった保護者の所得を補償するため、国は年次有給休暇と同額の賃金を支払う企業に、日額8330円を上限に助成する新たな制度を設けています。
この制度の創設が公表されたあとの今月4日、日本郵政グループが従業員に示した内部文書によりますと、臨時休校によって子どもの育児のため出勤できない場合は、従業員の希望に最大限配慮したうえで、まず年次有給休暇を取得し、制度の利用は年次有給休暇がない場合に限るとし「乱用しないよう注意」と書かれています。
厚生労働省は「個別の事例の是非は言えないが、年次有給休暇は労働者の希望に応じて取得させるもので、使用者が一方的に取得させるのは法の趣旨に反する」としています。
郵政産業労働者ユニオンは「国の要請で休校になった結果、仕事を休まざるをえないのに、年次有給休暇を使うのは適切ではなく、気兼ねなく休めるようにすべきだ」として取り扱いを改めるよう求めています。
-- NHK NEWS WEB