新型コロナウイルスの感染拡大の影響でマスク不足が続いていますが、京都や大阪の大規模な病院でも医師や看護師などに支給されるマスクの数が制限され、医療現場からは不安や懸念の声が上がっています。
複数の病院関係者によりますと、京都市の京都大学医学部附属病院では、今月に入って医師や看護師に対し、病院から支給されるマスクが制限されるようになり、ほとんどの部署で毎日1人1枚から1週間に1枚程度になったということです。
新型コロナウイルスの感染者を受け入れる病院には指定されていませんが、高度な医療を行う病院で多くの入院患者がいて、マスク不足の中で感染症対策が十分なのか、働く人たちから懸念の声が上がっているということです。
NHKの取材に対し、病院は「新型コロナウイルス関係の対応に多忙であり、面会制限など極力外部の方々の入場を制限しているため、取材はお断りします」としています。
また、大阪にある地域の拠点となっている病院でも、今月に入ってマスク不足が深刻化しているということです。
この病院に勤務する看護師の1人によりますと、感染症の患者の病室に入る際も、処置をしない場合は、看護師がマスクなしで入らざるを得なくなっているということです。
看護師は「1週間ほど前からマスクを使おうとすると、本当に今、必要なのか問われるようになりました。自分がマスクをしないことで、抵抗力が弱っている患者さんに何らかの病気をうつしてしまうのではないかと不安です。マスクをせずにケアをしている時に不意に、患者さんがせきこむこともあり、接するのも怖くなっている」と証言しました。
マスク不足をめぐっては、メーカーによる増産の動きのほか、政府が備蓄しているマスク250万枚余りを放出する方針ですが、大阪のこの病院はNHKの取材に対し、「今はそれぞれが持っているマスクを合わせて対応している。今後いつどれくらいマスクが供給されるのか分からないことが、いちばん困っている」と話し、マスクの供給を急いでほしいと訴えています。
-- NHK NEWS WEB