日銀は16日、金融政策決定会合を前倒しして開き、新型コロナウイルスの感染拡大による景気の悪化を食い止めるため、3年半ぶりの追加の金融緩和に踏み切ることを決めました。多くの株式をまとめてつくるETF=上場投資信託などの買い入れ額を一気に2倍に増やし、金融市場に大量の資金を供給することになりました。
新型コロナウイルスの感染拡大によって金融市場の動揺が続く中、日銀は16日、今週水曜日、木曜日に予定していた金融政策を決める会合を前倒しして開き、追加の金融緩和策を全員一致で決めました。
追加の金融緩和は2016年9月以来、3年半ぶりです。
具体的には、金融市場に大量の資金を供給するため、多くの株式をまとめてつくるETF=上場投資信託の買い入れ額を、今の年間6兆円から当面の間倍増させ、年間12兆円に増やします。
REIT=不動産投資信託についても当面の間、年間900億円から2倍の1800億円に買い入れを増やします。
また、企業の資金繰りを支援するため企業が発行するCP=コマーシャルペーパーと社債の買い入れについては、ことし9月末までに2兆円増やし、残高が社債は4兆2000億円、CPは3兆2000億円となるまで買い入れます。
さらに、感染拡大の影響で売り上げが減少している企業を支えるため、民間金融機関が融資を増やすよう資金供給の枠組みを新たに設け、ことし9月末まで0%の低い金利で貸し出すことにしています。
貸し出しの規模は、およそ8兆円となります。
日本時間の16日朝、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会が事実上のゼロ金利政策に踏み切ることを決めました。
日銀が会合の日程を前倒しするのは初めてで、日銀としては各国の政府や中央銀行と協調する形で、今回の追加緩和が経済の下支えに貢献するとしています。
一方、日銀は景気の現状について「新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響により、このところ弱い動きとなっている」として、これまでの判断を引き下げました。
景気判断を引き下げたのは去年4月以来です。
日銀は当面、新型コロナウイルスの感染症の影響を注視し、必要があればちゅうちょなく追加の金融緩和を行う方針です。
-- NHK NEWS WEB