知り合いの業者に頼まれて自分の名義を不正に貸し、クレジット契約を結んだ場合に、後から取り消せるかどうかが争われた裁判で、最高裁判所は、名義貸しのリスクなど重要な点について業者からうその説明をされて契約した場合は取り消せるという初めての判断を示しました。
この裁判は、北海道の男女30人余りが、資金繰りに行き詰まった知り合いの呉服店から「店がローンを返済する」などと頼まれて名義を貸し、商品を買ったように装ってクレジット契約を結んだところ、返済の途中で店が倒産したため、信販会社から残りの返済を求められたものです。
裁判では、店との約束が、法律上、契約を取り消せる「業者からのうその告知」にあたるかどうかが争われました。1審の旭川地方裁判所は「うその告知にあたる」と判断しましたが、2審の札幌高等裁判所は逆に返済を命じていました。
21日の判決で最高裁判所第3小法廷の大橋正春裁判長は、消費者が不正な名義貸しに関わっていたとしても、そのリスクなど重要な点について業者からうその説明をされて信じ込み、契約していた場合は、法律の規定にしたがって取り消せるという初めての判断を示しました。
そのうえで、返済を求められた人たちが契約を結んだ際の事情を個別に判断するため、札幌高等裁判所に審理のやり直しを命じました。
最高裁判所の判決について、信販会社から返済を求められた人たちの弁護団の金昌宏団長は、「極めて的確であり、全国に多くいる同じような被害者の救済に役立つ」とコメントしています。
一方、信販会社側は、「判決を真摯(しんし)に受け止め、引き続き適正に対応してまいります」というコメントを出しました。
-- NHK NEWS WEB