文部科学省の組織的な天下りの問題について、松野文部科学大臣は、新たに17件が官僚の天下りのあっせんなどを禁じた国家公務員法に違反していたことを明らかにしました。
国家公務員法は現職の職員が再就職を目的として、ほかの職員やOBの情報を提供することなどを禁じています。この法律に違反するとされた17件の内容です。
(1)平成25年4月には、文部科学省人事課の職員が学生情報センターの特別顧問を務める文部科学省OBの嶋貫氏の依頼に応じて、この団体に再就職する候補者を提案していました。
(2)平成26年の4月から5月にかけては、文部科学省人事課の職員が早稲田大学の非常勤講師だった文部科学省OBを常勤講師とするよう大学に依頼していました。
(3)平成26年には滋慶学園で、再就職に関する違反ではないものの、新たな大学設置の審査過程で、審査を担当する職員が人事課の職員に対して審査に関する情報を提供していました。
(4)平成26年には文部科学省人事課の職員が、嶋貫氏を通じて新潟科学技術学園に再就職を希望している職員の情報を伝え、職員はおととし5月役員として再就職しました。
(5)おととし4月には、文部科学省人事課の職員が嶋貫氏の指示のもと、別のOBの情報を提供していました。このOBは、その後、民間の保険会社の顧問に就任しました。
(6)おととしには、高等教育局の私学部長が青森大学から求人の情報があることを嶋貫氏に伝え、候補者に挙げたOBは去年、大学に再就職しました。
(7)おととし6月と7月には、文部科学省人事課の職員が、獨協学園に再就職している文部科学省OBに対して、学園の役員などのリストの提供を依頼していました。
(8)おととし7月、文部科学省人事課の職員が東京国立博物館協力会に依頼して、役員などについている文部科学省OBのリストを提供させていました。
(9)おととし上智大学では、文部科学省人事課の職員が、文部科学省OBの理事に対して出向していた職員の後任について相談していました。
(10)おととし11月、日本PTA全国協議会の事務局にいる文部科学省OBが、文部科学省の課長に対して適任者を推薦するよう依頼し、その情報が人事課の職員を通じて嶋貫氏に伝えられました。
(11)おととし11月には、文部科学省の人事課長がOBの再就職に関する相談に直接応じたうえで、このOBの情報を別の職員を通じて嶋貫氏に提供していました。
(12)おととし12月、文部科学省人事課の職員に対して、教職員共済生活協同組合の副理事長が職員を採用したいと依頼し、その情報が嶋貫氏に伝えられました。
(13)おととし12月、岐阜大学の関係者から文部科学省人事課にOBを推薦するよう依頼があり、その後、出向中の職員などが調整に当たったということです。
(14)去年4月、全国公民館連合会副会長の文部科学省OBが、文部科学省の局長に対して後任の推薦を依頼し、人事課の職員を通じて候補者の情報が提供されました。
(15)去年6月、筑波大学では、当時、文部科学審議官だった前川前事務次官が、この大学に出向していた理事に早期退職を打診したうえで、人事課長が別の学校法人に理事を再就職させるため、情報を提供していました。
(16)去年2月、日本生命では、顧問についていた文部科学省OBに対して退職後の後任を推薦するよう依頼し、文部科学省の人事課長が候補となる別のOBの情報を会社側に提供していました。
(17)去年9月、前川前事務次官が兵庫県の甲子園学院から幹部の後任を紹介するよう直接依頼され、人事課の職員が学園に対して嶋貫氏の連絡先を伝えていました。
-- NHK NEWS WEB