新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、イベントが中止になっても保険の支払いの対象とならず、イベントの主催者がキャンセル費用などを負担しているケースが出ていることについて、損害保険協会の金杉恭三会長は、感染症を想定した保険の販売が行き渡らず、保険会社側のリスクの想定も十分ではなかったという認識を示しました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、コンサートやスポーツの試合など、さまざまなイベントの中止が各地で相次いでいます。
損害保険各社はイベントの中止に備える「興行中止保険」を販売していますが、保険金が支払われるのは、台風など自然災害によって中止となった場合としているケースが多く、今回の感染拡大では施設のキャンセル費用を、みずから負担するイベントの主催者も増えています。
これについて金杉会長は、19日の定例の記者会見で「感染症の流行によるイベントの中止に備える保険は現状でもあるが、顧客に対し積極的にすすめることができていなかった」と述べ、感染症に対する保険会社側のリスクの想定が十分ではなかったという認識を示しました。
そのうえで「今回の経験をもとに、今後の保険の設計や加入のアドバイスにつなげていきたい」と述べました。
損害保険各社は、政府の自粛の要請などでイベントを中止した場合でも、もともとの契約内容に沿って対応することにしていますが、今後、顧客との間で契約プランの見直しなどに応じたいとしています。
-- NHK NEWS WEB