新型コロナウイルスの感染拡大で金融市場の動揺が続く中、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は臨時の会合を開き、国債などを買い入れて市場に大量の資金を供給する量的緩和策を無制限に行う方針を決めました。2008年のリーマンショックの教訓を踏まえ、やつぎばやに異例の政策を打ち出しています。
FRBは23日に開いた臨時の会合で、今月再開した、国債などを7000億ドル分買い取って市場に大量の資金を供給する量的緩和策について「金融の機能を支援するため必要な額を購入する」として、買い取りの規模を定めず無制限に行う方針を決めました。
さらに、中小企業の借り入れや学生ローンなどを組み込んだ証券を買い入れる新たな措置も決めました。
臨時の会合はすでに今月3回目で、事実上のゼロ金利政策も導入するなどやつぎばやに異例の政策を打ち出しています。
こうした対応の背景には2008年のリーマンショックの教訓があります。
この際には金融システムが機能不全に陥り、企業の活動や個人のローンの返済が滞って実体経済に深刻な影響が広がりました。
FRBは声明で「アメリカ経済が深刻な混乱に直面することは明らかで、雇用や収入が失われないよう官民を挙げて取り組むべきだ。アメリカの家計や企業に資金が行き届くように、あらゆる権限を行使する」と強調しています。
ただ、アメリカでは新型コロナウイルスの感染者が3万人を超えて、金融市場の動揺が続く中、異例の政策によって金融危機に陥るのを防ぐことができるか不透明な状況です。
-- NHK NEWS WEB