新型コロナウイルスに感染し、肺炎になった患者の治療に、エボラ出血熱の治療薬として開発が進められた薬が効くかどうか調べる臨床試験を、東京の国立国際医療研究センターが今月中にも始めると発表しました。
これは、新型コロナウイルスに感染した患者への治療を行っている国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長が説明会を開いて明らかにしました。
それによりますと、臨床試験では新型コロナウイルスに感染し、肺炎か、酸素の吸入が必要な状態になった入院患者に対して、アメリカの企業がエボラ出血熱の治療薬として開発を進めてきた抗ウイルス薬「レムデシビル」を1日1回投与する計画です。
この薬が誰に投与されるか、患者も医師も分からないようにして、投与から2週間後に、対症療法と偽の薬の投与を受けた患者と比較し、薬の効果を判定します。
臨床試験はアメリカと韓国、シンガポールの医療機関と共同で合わせておよそ440人の患者を対象に行われる予定で、国立国際医療研究センターでは早ければ今月中にも投与を始めたいとしています。
新型コロナウイルスに対する特効薬はなく、現在、エイズの発症を抑える薬やインフルエンザの治療薬、それにぜんそくの治療薬などについて、実際の患者で効果や安全性の検証が進められています。
大曲医師は「標準的な治療を確立するために1日でも早く、レムデシビルの検証を進めたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB