政府は今月の月例経済報告を公表し、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて景気の現状についての判断を「足もとで大幅に下押しされており、厳しい状況にある」と下方修正しました。景気判断から「回復」という表現が6年9か月ぶりになくなり、政府として公式に経済への厳しい見方を示しました。
政府が26日の関係閣僚会議でまとめた今月の月例経済報告では新型コロナウイルスの感染拡大による深刻な影響が相次いで示されました。
「個人消費」は「感染症の影響により、このところ弱い動きとなっている」として、判断を3年1か月ぶりに下方修正しました。
今月上旬の新幹線の利用者数が前の年から半減したほか、コンビニエンスストアの販売額も先月後半以降、マイナスに転じるなど、外出自粛の影響が急速に広がったためです。
「輸入」は、中国からの部品などの供給が滞っているため、「感染症の影響により、このところ減少している」と判断し、2か月連続で下方修正しました。
さらに景気を支えてきた「雇用情勢」についても、企業からの求人数が減り始めているとして「改善してきたが、感染症の影響がみられる」とする判断に4か月ぶりに下方修正しました。
これらを踏まえて景気の現状についての判断は、「新型コロナウイルス感染症の影響により、足もとで大幅に下押しされており、厳しい状況にある」としました。
「緩やかに回復している」としていた前の月の判断を下方修正し、6年9か月ぶりに「回復」の表現がなくなりました。
政府として公式に経済への厳しい見方を示した形で、回復の期間が戦後最長になったと言われてきた景気が転換点を迎えました。
-- NHK NEWS WEB